Role
発達障がい支援における
言語聴覚士の役割とは
一人一人の
「伝える力」を育む
言語聴覚士の仕事
発達に課題を抱えるこどもたちは、日常のなかで「うまく伝えられない」「なんだか聞き取れない」という経験を重ねています。
言語聴覚士は、言語障害・構音障害・摂食嚥下障害・聴覚障害に対して、こどもたちの「その子らしいコミュニケーション」が育つようにサポートします。
単に「訓練する」だけではありません。言語聴覚士は、こどもたちの小さな「伝わった!」「わかった!」という体験を積み重ねていくなかで、自信と表現意欲を育む支援を行います。


言語聴覚士が発達障がい支援で
活躍できる理由

01
言語・コミュニケーション障害への専門的支援
こどもの「なかなか話さない」「相手の話を理解しにくい」などの課題には、言語発達遅滞や表出性言語障害などが関係していることがあります。
言語聴覚士は、一人ひとりの言語発達段階を評価し、「伝えたい」「わかりたい」という気持ちを大切にしながら、ことばの理解と表現を段階的に支援します。
たとえば、こんな支援を行います。
- 絵カードや身振りを使って「伝わった!」という成功体験を積み重ねる
- 手あそび歌やしりとりを通じて、楽しく語彙や発語を練習
- 聴覚過敏のこどもには静かな環境を整え、名前を呼んでから話しかける配慮

02
摂食嚥下障害への専門的アプローチ
食事中にむせやすい、特定の食感を嫌がる、口の周りが汚れやすいなど、摂食嚥下の困難には口腔機能や嚥下反射の課題が隠れていることがあります。
言語聴覚士は、摂食嚥下機能を専門的に評価し、安全で楽しい食事ができるよう、段階的な訓練を行います。
たとえば、こんな支援を行います。
- 口腔マッサージや舌の運動で、食べる準備を整える間接訓練
- ゼリーから始めて徐々に通常食へと進める直接訓練
- 嚥下しやすい姿勢や食器の調整で、安全な食事環境を整える

03
吃音・構音障害とソーシャルスキルの支援
発達障がいのあるこどもたちは、吃音で話すことに不安を感じたり、発音が不明瞭で相手に伝わりにくかったり、適切な言葉で気持ちを表現することに困難を示すことがあります。
言語聴覚士は、吃音や構音の支援と並行して、あそびや日常の活動を通して、感情を言葉で表現する力や、相手とのやりとりを楽しむ社会性を育てていきます。
たとえば、こんな支援を行います。
- 吃音のあるこどもには、ゆっくり話せる安心できる環境を作る
- 口の形や舌の位置を視覚的に示して、正しい発音を練習
- ごっこあそびで「貸して」「ありがとう」などの日常会話を自然に身につける
- 絵本の読み聞かせで登場人物の気持ちを一緒に考え、感情表現語彙を増やす

04
「医療」と「生活」の架け橋として
言語聴覚士は、医学的根拠に基づいた専門知識をもとに、こどもの「日常生活でのコミュニケーション」に密着した支援ができる国家資格を持つ専門職です。
病院では「評価・訓練」が中心ですが、放課後等デイサービスでは「生活の中でことばを育む」視点が求められます。
日常の支援に、専門知識を応用できます。
- 「この子が家庭で安全に食事をするには?」
- 「学校生活でのコミュニケーション困難にどう配慮する?」
- 「聴覚障害のある子への環境整備は?」