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言語聴覚士国家試験に落ちたらどうする?再受験で合格するためのヒント

言語聴覚士の国家試験に落ちてしまった・・・。

結果は悔しいかもしれませんが、この経験を次の合格につなげることは十分に可能です。実際に、再受験で合格する人も多くいます。

大切なのは、今の状況を冷静に整理して、自分に合った対策を考えることです。

この記事では、言語聴覚士の国家試験に落ちてしまった方に向けて、再受験で成功するための具体的な方法と判断のポイントをまとめています。

言語聴覚士の国家試験に落ちた・・・まずは失敗の原因を特定しよう

言語聴覚士国家試験に落ちた場合、次回合格のためには、まず自分の失敗パターンを正しく把握することが重要です。

原因によって取るべき対策が大きく異なるため、客観的な分析を行いましょう。

成績通知書を詳細に分析して、あなたの失敗パターンを特定してください。

①20点満点中100点以下だった場合

この得点帯は、特定の科目が苦手というレベルではなく、多くの科目において教科書レベルの基礎知識が定着していない可能性があります。

学習内容の網羅性が不足しており、知識の絶対量が合格基準に達していない状態です。

対策としては、特定の分野に絞るのではなく、全科目を対象とした体系的な学び直しが急務となります 。

②100-115点だった場合

この得点帯の受験者は、個々の知識(キーワードや定義)は持っているものの、それらを関連付け、臨床場面を想定した事例問題に応用する力に課題があると考えられます。

知識が断片的に存在し、体系的な理解に至っていない状態です。

例えば、「失語症のタイプ分類は言えるが、具体的な症例の症状からタイプを判断できない」といったケースがこれに該当します。

対策としては、知識のインプットに留まらず、過去問の事例問題などを通じて「知識を使う」訓練を重点的に行う必要があります 。

③116-119点の場合

合格まであと数点というこの層は、全体的な知識量は十分に合格レベルに達しています。不合格の原因は、より戦術的な側面に潜んでいる可能性が高いです。

例えば、200問という長丁場での時間配分の失敗、集中力の維持、あるいは特定の「捨てていた」分野からの予想外の出題などが考えられます。また、ケアレスミスを頻発する、問題文の意図を誤読するなど、試験本番での解答テクニックの問題も無視できません 。

対策は、全範囲の学び直しよりも、模擬試験を通じた実践的な訓練や、失点した特定分野の徹底的な補強に絞りましょう。

言語聴覚士国家試験に落ちてしまったとしても、あなたの経験は無駄ではありません。

あなたの得点パターンと弱点分野を明確にすることで、限られた時間をどの対策に集中すべきかの判断基準が定まります。

次に、この分析結果を踏まえた具体的な学習計画の立て方ついて説明します。

言語聴覚士試験の再受験のための学習方法の選び方

言語聴覚士試験の再受験の方法は大きく「独学」「通信講座」「予備校」の3つに分けられます。

それぞれに特徴や費用、リスクがあり、自分の状況に合った方法を選ぶことが重要です。

①独学:自由度が高いが自己管理が必須

独学は、前回の試験で116点から119点とあと一歩だった受験者に向いています。

必要な知識はすでに備わっており、得点不足の原因が時間配分や特定の分野の弱点にある場合に有効です。

ただし、極めて高い自己管理能力と学習計画を正確に遂行する力が求められます。

独学の最大の利点は費用がほとんどかからず、生活リズムや理解度に合わせて学習ペースを自由に調整できる点です。一方で、非効率な学習法を無意識に繰り返してしまう危険があり、フィードバックが得られないため弱点に気づきにくいというリスクもあります。

また、孤独な学習環境はモチベーションの低下を招きやすく、統計的にもサポートのない再受験者の合格率は低いのが現実です。

なお、独学はあくまで国家試験対策の意味であり、資格取得自体は養成課程の修了が前提です。

②通信講座:柔軟性とサポートの両立

通信講座は、働きながら再受験を目指す社会人や、自己管理はある程度できるが学習の指針や質問できる環境を求める人に適しています。

前回の得点が100点から115点で、基礎知識はあるものの応用力に課題がある場合には特に有効です。

通信講座では計画的に編成されたカリキュラムと、要点を絞った教材が提供されますが、最大の価値は専門家によるサポート体制にあります。

多くの講座ではLINEなどを通じた質問対応、定期的なオンライン面談、学習進捗の管理といったサービスがあり、独学で陥りやすい孤立やフィードバック不足の問題を解消できます。費用は月額35,800円程度から、一括で328,000円程度までさまざまですが、これは単なる教材費ではなく、専門家へのアクセス権と学習管理サービスに対する対価として考えるのが妥当です。

講座を選ぶ際には、教材の量よりも講師とのコミュニケーションの頻度や質を重視することが賢明です。

③予備校:基礎から徹底的に学ぶ集中型学習

予備校は、前回の得点が100点未満で基礎から知識を再構築する必要がある受験者や、自己管理に自信がなく、強制力のある環境で集中して学習したい人に向いています。

予備校ではライブ授業、模擬試験、講師への直接質問、クラスメートとのディスカッションといった学習環境を提供し、新卒者が養成校で経験する環境を忠実に再現しています。

その分、経済的負担は大きく、総額で35万円から80万円以上かかる場合もあります。しかし、この費用は単なる出費ではなく、翌年の専門職としてのキャリアや収入を確保するための投資と考えることができます。

集中できる学習環境を活用することで、合格率を15%程度から70%近くまで引き上げる可能性もあるため、費用以上の価値があると言えるでしょう。

三つの選択肢を整理してまとめると、以下のようになります。

項目 独学 通信講座 予備校
推定費用 ほぼ0円(教材費のみ) 30万円~40万円 40万円~80万円以上
時間的拘束 完全に自由 計画的(パートタイム型) 計画的(フルタイム型)
主な利点 費用がかからない、スケジュールが自由 体系的カリキュラム、質問・相談環境、柔軟な学習時間 没入型の学習環境、直接的な講師指導、仲間との切磋琢磨
主な欠点 孤立しがち、モチベーション維持困難、誤った学習法の反復リスク 独学より費用がかかる、一定の自己管理能力が必要 経済的負担が大きい、時間的拘束が強い
最適な候補者像 116-119点(自己管理能力が極めて高い) 100-115点(働きながら学習する社会人) 100点未満(基礎から再構築が必要な人)

言語聴覚士試験の再受験で結果を出すために

言語聴覚士の再受験で成功するには、毎日の学習の積み重ねで、知識を確実に自分のものにすることがポイントです。

過去問の徹底活用で理解を深める

過去問は国家試験対策の中心です。ただ解くだけでなく、深く分析して理解することが重要になります。

最低でも過去5年分、理想的には10年分を解くことが推奨されています。

  1. まず、本番同様に時間を計り、200問を通して解くことで、試験全体の時間感覚と集中力を鍛えます。
  2. その後、1問ずつ正解の理由と不正解の選択肢の誤りを教科書や参考書で確認しながら分析します。

このプロセスを繰り返すことで、断片的な知識が全体像として把握できるようになり、理解が深まります。

模擬試験(模試)を活用する

模試は単なる実力測定ではなく、弱点を把握し、精神的な準備を行うためリハーサルでもあります。

得点そのものより、どの分野で、どの状況で間違えたのかを分析することが重要です。

時間配分や緊張の影響、特定の出題形式への弱さなどを確認し、その結果をもとに学習計画を微調整します。

また、模試を通じて試験会場の雰囲気や長時間試験の疲労を体験しておくことで、本番での過度な緊張を和らげる効果もあります。

デジタルツールでスキマ時間を有効活用する

現代の学習は紙の教材だけでなく、デジタルツールを活用することで効率を大幅に高められます。特に働きながら受験する場合、スマホアプリで通勤時間や休憩時間に過去問演習や暗記項目の確認を行うことができます。

アプリは間違えた問題を自動で記録し、繰り返し出題してくれる機能もあり、効率的に弱点を克服できます。

さらに、SNSやオンライン学習コミュニティを活用することで、孤独になりがちな再受験でもモチベーションを維持できます。同じ受験者と情報交換したり、オンライン勉強会に参加したりすることで、理解を深めながら継続しやすくなります。

具体的なスケジュールを立てて学習する

「合格するまで勉強する」という漠然とした目標ではなく、「いつ、何を、どれくらい学習するか」を具体化することが重要です。

合格者の目安となる総学習時間は約584時間とされており、これを現実的にスケジュールに落とし込む必要があります。

学習に専念できる場合は1日7〜9時間、働きながらの場合は平日1〜2時間、休日3〜4時間の学習時間を目安にすると良いでしょう。

週間スケジュールの例をご紹介します。こちらを参考に、生活スタイルや集中力に応じて柔軟に調整してください。

時間帯 プランA:学習専念型 プランB:社会人両立型
平日 午前 弱点科目集中学習(9:00-12:00) アプリで過去問演習(7:00-8:00)
平日 午後 過去問演習と解説読み込み(13:00-17:00) 昼休みに暗記カード確認(12:00-13:00)
平日 夜 その日の復習と要点まとめ(19:00-21:00) 重点科目の学習(21:00-23:00)
休日 午前 模試(200問通し、9:00-12:30) 過去問演習(100問、9:00-12:00)
休日 午後 模試の自己分析と関連分野復習(13:30-18:00) 弱点分野の集中学習(14:00-16:00)
休日 夜 自由時間(リフレッシュ) 1週間の総復習(21:00-22:00)
週間合計 約45時間 約17時間

このモデルスケジュールはあくまで参考例です。最も重要なのは、継続可能な計画を作ることです。

日々の具体的な行動に落とし込むことで、漠然とした不安を着実な成果に変えることができます。


言語聴覚士の国家試験に落ちた経験は決して無駄ではありません。

次回の試験での合格を、心から応援しています。あなたの努力は必ず実を結びます。

この記事を書いた人
こどもプラス本部

発達支援に特化した放課後等デイサービス「こどもプラス」は、全国190教室以上を展開しています。
言語聴覚士として、発達障がいのお子様のことばやコミュニケーション支援に携わることができる職場です。
こどもプラスは、全国の教室で言語聴覚士として働く仲間を募集しています。

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