言語聴覚士を最短ルートで目指したいとき、大学卒業者なら2年制の養成校に進学することで、2年間で国家試験受験資格を取得できます。
ただし、近年は募集を停止する学校が増えており、選択肢が限られているのが現実です。
この記事では、全国の言語聴覚士2年制養成校の最新情報を一覧にまとめました。
全国の言語聴覚士2年制養成校一覧
現在募集中の言語聴覚士の2年制養成校を一覧表にまとめました。
気になる学校については、この後の詳細情報もチェックしてみてください。
現在募集中の2年制養成校一覧
地域 | 学校名 | 都道府県 | 市区町村 | 種別 | 課程 | 定員 | ここがポイント! |
---|---|---|---|---|---|---|---|
関東 | 多摩リハビリテーション学院専門学校 | 東京都 | 青梅市 | 専門学校 | 昼間部 | 40名 | 実習680時間以上!ゼロ円入学制度あり |
日本福祉教育専門学校 | 東京都 | 新宿区 | 専門学校 | 昼間部 | 78名 | 歴史ある学校、学内で実習体験可能 | |
首都医校 | 東京都 | 新宿区 | 専門学校 | 昼間部 | 20名 | 専攻が選べる!最新の評価システム | |
武蔵野大学専攻科 | 東京都 | 武蔵野市 | 大学専攻科 | 昼間部 | – | 唯一の大学!修士号も取得可能 | |
茅ヶ崎リハビリテーション専門学校 | 神奈川県 | 茅ヶ崎市 | 専門学校 | 昼間部 | 35名 | 少人数制、嚥下・高次脳機能に強い | |
中部 | 専門学校 名古屋医専 | 愛知県 | 名古屋市 | 専門学校 | 昼間部 | 20名 | 専攻選択制、就職完全保証 |
東海医療科学専門学校 | 愛知県 | 名古屋市 | 専門学校 | 昼間部 | 40名 | 学費が安い!嚥下教育が充実 | |
日本福祉大学中央福祉専門学校 | 愛知県 | 名古屋市 | 専門学校 | 昼間部 | – | 大学グループ、入学金免除制度 | |
関西 | 大阪医専 | 大阪府 | 大阪市 | 専門学校 | 昼間部 | 30名 | 首都医校の姉妹校、専攻選択可 |
大阪医療福祉専門学校 | 大阪府 | 大阪市 | 専門学校 | 昼間部 | 30名 | 学内相談室で実践経験 | |
姫路医療専門学校 | 兵庫県 | 姫路市 | 専門学校 | 昼間部 | – | 小児分野に強い!発達相談室併設 | |
関西学研医療福祉学院 | 奈良県 | 奈良市 | 専門学校 | 昼間部 | 40名 | シミュレーション教育充実 | |
大阪医療技術学園専門学校 | 大阪府 | 大阪市 | 専門学校 | 昼夜間部 | – | 関西唯一!働きながら学べる | |
中国・四国 | 広島都市学園大学専攻科 | 広島県 | 広島市 | 大学専攻科 | 昼間部 | 40名 | この地域では唯一の選択肢 |
九州 | 専門学校麻生リハビリテーション大学校 | 福岡県 | 福岡市 | 専門学校 | 昼夜間部 | 40名 | 九州で働きながら学べる唯一の学校 |
【要注意】募集停止・統合予定の学校
以下の学校は、今後の募集停止や統合が予定されており、入学を検討している方は注意が必要です。
学校名 | 都道府県 | 状況 | 知っておきたいポイント |
---|---|---|---|
前橋医療福祉専門学校 | 群馬県 | 2026年度以降募集停止 | 志願者減少が理由 |
神戸総合医療専門学校 | 兵庫県 | 2025年度以降募集停止 | すでに募集終了 |
大阪保健医療大学専攻科 | 大阪府 | 2025年4月募集停止 | 合格率全国1位の実績校でした |
福岡国際医療福祉大学専攻科 | 福岡県 | 2023年度以降募集停止 | 4年制に変更 |
専門学校日本聴能言語福祉学院 | 愛知県 | 2026年4月統合予定 | 他校と統合します |
知っておきたい!2年制課程の基本情報
2年制の言語聴覚士養成課程は、すでに4年制大学を卒業した方や高度専門士の称号を持つ方が対象です。
現在全国には約15校の2年制養成校があり、ほとんどが専門学校です。大きな特徴は、一般教養などの基礎科目は省略して、言語聴覚療法の専門知識に集中して学べることです。だからこそ2年間という短期間で国家試験の受験資格を取得することができます。
言語聴覚士の2年制はきつい?短期間での資格取得を迷っている方へ
4年制の養成校との違いについてはこちらで詳しく解説しています
ただし、最近は「志願者が少ない」という理由で募集を停止する学校が増えています。
また、北海道・東北地方には2年制の学校が1校もないなど、地域によって選択肢にかなり差があるのが現状です。「できるだけ早く資格を取りたい」という方は、他の地域への引っ越しも視野に入れる必要があるかもしれません。
次に、言語聴覚士の2年制養成校の詳細をご紹介します。
関東エリアの2年制養成校一覧
関東地方は全国で最も多くの2年制養成校がある地域です。
「東京近辺で学校を探したい」という方には選択肢が豊富なエリアです。
関東の学校は、それぞれ個性的な特徴を持っています。実習時間をたっぷり確保している学校、学費サポートが充実している学校、専門分野を選べる学校など、あなたの希望に合わせて選べるのが魅力です。
多摩リハビリテーション学院専門学校
東京都青梅市にある多摩リハビリテーション学院専門学校は、「実習をたくさん経験したい!」という方にぴったりの学校です。国の基準480時間を大幅に上回る680時間以上の臨床実習が最大の魅力。医療法人が運営しているので、現場との連携もバッチリです。
「学費が心配…」という方には、「ゼロ円入学」という独自の制度があります。入学時にまとまったお金がなくても始められるので、社会人の方には特に助かりますね。もちろん、国の給付金制度も利用できます。
日本福祉教育専門学校:歴史と実績で選ぶなら
新宿区にある日本福祉教育専門学校は、定員78名と規模が大きく、長い歴史を持つ学校です。「しっかりとした基盤のある学校で学びたい」という方におすすめです。
この学校の特徴は、カリキュラムを「覚える時期」と「実践する時期」にはっきり分けていること。効率よく学習できるよう工夫されています。校内に「新宿ことばの相談室」があるので、実際の患者さんとの関わりを間近で見ることができるのも魅力です。
首都医校:専門分野を極めたい方に
新宿区にある首都医校は、定員20名の少人数制が特徴です。最終学年で「子ども発達専攻」「摂食・嚥下専攻」「認知機能専攻」から選択できるので、「将来はこの分野で活躍したい!」という目標がある方にぴったりです。
他の医療系学科もある総合校なので、チーム医療について学べるのも大きなメリット。最新の評価システム(OSCE)も導入されており、現代的な教育を受けられます。
武蔵野大学専攻科:大学で学びたい方へ
武蔵野市にある武蔵野大学の専攻科は、全国で唯一の大学による2年制課程です。「専門学校ではなく大学で学びたい」という方におすすめ。修士号も同時に取得できるコースもあります。
ただし、カリキュラムがかなり濃密なので、アルバイトとの両立は難しいとされています。学業に集中できる環境を整えてから入学することが大切ですね。
茅ヶ崎リハビリテーション専門学校:少人数でじっくり学ぶ
神奈川県茅ヶ崎市の茅ヶ崎リハビリテーション専門学校は、定員35名の少人数制。「一人ひとりしっかり見てもらいたい」という方におすすめです。
高次脳機能障害や嚥下障害の授業時間を通常の2倍確保するなど、臨床現場で需要の高い分野に力を入れているのが特徴です。
中部エリアの2年制養成校一覧
中部地方の養成校は、「質の高い教育を比較的リーズナブルに受けられる」のが大きな魅力です。
愛知県に集中していますが、どの学校も歴史と実績があります。
ただし、2026年には学校統合も予定されているので、志願を考えている方は最新情報をチェックしておきましょう。
専門学校名古屋医専:就職サポートが手厚い
名古屋市にある専門学校名古屋医専は、首都医校や大阪医専と同じグループです。最終学年で専攻を選択できるシステムや、最新の評価方法(OSCE)など、首都圏と同じレベルの教育を受けられます。
「就職できるか心配…」という方には、「完全就職保証制度」があるので安心です。
東海医療科学専門学校:コスパ重視の方におすすめ
名古屋市にある東海医療科学専門学校は、初年度115万円、2年間で210万円と、比較的学費が抑えられています。「できるだけ費用を抑えたい」という方には魅力的な選択肢です。
嚥下(飲み込み)の分野に特に力を入れており、高齢化社会で需要が高まっている分野を重点的に学べます。
専門学校日本聴能言語福祉学院:歴史ある名門校
名古屋市にある専門学校日本聴能言語福祉学院は、1985年設立の歴史ある学校です。日本で最初に大学卒業者向け2年制課程を始めた学校として知られています。
ただし、2026年4月に他校との統合が予定されているので、志願を考えている方は統合後の体制について確認しておきましょう。
日本福祉大学中央福祉専門学校:大学グループの安心感
名古屋市にある日本福祉大学中央福祉専門学校は、日本福祉大学グループの一員として安定した教育基盤を持っています。成績優秀者には入学金免除の制度もあるので、「勉強には自信がある!」という方はチャレンジしてみては?
関西エリアの2年制養成校一覧
関西地方の養成校は、学内実習施設の充実や多職種連携教育など、実践的な学習環境に力を入れている学校が多いのが特徴です。
ただし、最近は募集を停止する学校もあるので、志願前には必ず最新情報を確認してくださいね。
大阪医専:首都医校の姉妹校
大阪市にある大阪医専は、首都医校、名古屋医専の姉妹校として、同じレベルの教育を受けられます。専攻選択制やチーム医療教育など、首都圏と変わらない充実したカリキュラムが魅力です。
大阪医療福祉専門学校:コミュニケーション重視
大阪市にある大阪医療福祉専門学校は、学内に「ことばの相談室」を設置しており、実際の患者さんとの関わりを学生時代から体験できます。コミュニケーション能力を重視した教育が特徴です。
姫路医療専門学校:子ども分野に強い
兵庫県姫路市の姫路医療専門学校は、「将来は子どもたちと関わりたい」という方におすすめです。地域の子どもを対象とした「ことばと発達の相談室」があり、小児分野の実践経験をたくさん積めます。
関西学研医療福祉学院:シミュレーション教育が充実
奈良県奈良市の関西学研医療福祉学院は、シミュレーション教育に力を入れています。実際の患者さんに接する前に、様々な症例をシミュレーションで体験できるので、自信を持って実習に臨めます。
大阪医療技術学園専門学校:関西で働きながら学ぶなら唯一の選択肢
大阪市にある大阪医療技術学園専門学校は、関西で唯一の昼夜間部を設置しています。平日は夜間、土曜日は昼間の授業で、「関西で働きながら学びたい」という方の唯一の選択肢です。
中国・四国エリアの2年制養成校は1校のみ
中国・四国地方では、広島都市学園大学が唯一の2年制課程を設置しています。
この地域で最短コースを希望する方には、事実上ここしか選択肢がありません。
広島都市学園大学専攻科:地域唯一の貴重な選択肢
広島市にある広島都市学園大学の言語聴覚専攻科は、定員40名の昼間部です。中国・四国地方では唯一の選択肢なので、この地域の方にとって非常に貴重な存在です。
1年次に4週間、2年次に8週間の実習があり、実践的な能力を身につけられるよう工夫されています。
九州・沖縄エリアの2年制養成校は1校のみ
九州・沖縄地方でも、選択肢は1校のみとなっています。
福岡国際医療福祉大学が4年制に移行したため、現在は専門学校麻生リハビリテーション大学校だけが2年制課程を提供しています。
専門学校麻生リハビリテーション大学校:九州で働きながら学ぶなら
福岡市にある専門学校麻生リハビリテーション大学校は、九州で唯一の昼夜間部プログラムです。平日夜間と土曜昼間の授業で、「九州で働きながら学びたい」という方にとって唯一の選択肢となります。
夜間の言語聴覚士養成校についてはこちらの記事でくわしくまとめています
言語聴覚士の養成校選びで失敗しないための5つのポイント
「どの学校を選べばいいかわからない…」という方のために、言語聴覚士の養成校選びで重要なポイントをまとめました。
1. 実習時間と内容をチェック
「実際の現場でどのくらい経験を積めるか」は、卒業後の即戦力度に直結します。
実習時間の国の基準は480時間ですが、多摩リハビリテーション学院専門学校のように680時間以上の実習を行う学校もあります。
単純に時間数だけでなく、実習先の病院や施設の種類、指導体制についても確認しましょう。「どんなところで実習できるの?」「先生はしっかり指導してくれるの?」といった点が重要です。
2. 学費サポート制度を活用しよう
多くの学校が国の「専門実践教育訓練給付制度」の対象になっており、条件を満たせば学費の50%(年間上限40万円)が支給される可能性があります。
さらに、各校独自のサポート制度もチェックしましょう。多摩リハビリテーション学院専門学校の「ゼロ円入学」や、日本福祉大学中央福祉専門学校の入学金免除制度など、経済的な負担を軽減できる制度があります。
3. あなたのライフスタイルに合う授業時間は?
今の仕事を続けながら学びたい、という方は、昼夜間部のある学校を選ぶ必要があります。ただし、選択肢は限られているのが現実です。
- 大阪医療技術学園専門学校
- 専門学校麻生リハビリテーション大学校
関東地方では、残念ながら現在夜間部や昼夜間部を設置している2年制課程は確認されていません。働きながら学びたい関東在住の方は、他地域への進学を検討する必要があります。
4. 専門分野へのこだわりはある?
「将来は小児分野で働きたい」「嚥下障害の専門家になりたい」など、具体的な目標がある方は、その分野に強い学校を選びましょう。
分野 | 学校名 |
---|---|
小児分野 | 姫路医療専門学校、関西学研医療福祉学院 |
嚥下分野 | 茅ヶ崎リハビリテーション専門学校、東海医療科学専門学校 |
専攻選択制 | 首都医校、大阪医専、名古屋医専 |
5. 最新の教育システムを導入しているか?
OSCE(客観的臨床能力試験)を導入している学校は、より現代的で質の高い教育を提供していると考えられます。首都医校、大阪医専、名古屋医専、東海医療科学専門学校などが導入しています。
言語聴覚士の養成校を志願する前に必ず確認しよう
言語聴覚士の養成校志願前に必ずチェックしておきたいポイントをまとめました。
募集状況は変わりやすい!最新情報を必ずチェックしよう
最近は募集を停止する学校が増えています。「去年は募集していたのに…」ということがないよう、必ず公式サイトで最新の募集状況を確認しましょう。
特に注意が必要なのは以下の学校です。
- 前橋医療福祉専門学校:2026年度以降募集停止予定
- 専門学校日本聴能言語福祉学院:2026年4月統合予定
地域の制約を理解しよう
北海道・東北地方には2年制の学校が1校もありません。また、中国・四国地方、九州・沖縄地方も選択肢が極めて限られています。
地元で学びたいけど学校がない…という場合は、他地域への引っ越しも視野に入れる必要があります。学費に加えて生活費(月10万円程度)も必要になることを考慮した資金計画を立てましょう。
総費用はいくらかかる?
学費だけでなく、教科書代、実習費、国家試験受験料なども含めた総費用を見込んでおきましょう。給付金制度を利用しても、大きな金額になります。
また、社会人の方は在学中の収入減少も考慮した資金計画が必要です。「2年間でどのくらいの収入があるか」「生活費はどの程度かかるか」を具体的に計算しておきましょう。
言語聴覚士は「話す」「聞く」「食べる」という人間の基本的な機能を支援する、とてもやりがいのある仕事です。2年制課程は減少傾向にありますが、だからこそ今がチャンスとも言えます。しっかりと情報収集して、あなたにぴったりの学校を見つけてくださいね!