2年制の専門学校はきついのか?|言語聴覚士 言語聴覚士

言語聴覚士の2年制はきつい?短期間での資格取得を迷っている方へ

言語聴覚士の資格をできるだけ短期間で取得したいと考える人の中には、2年制課程の学びが本当に可能なのか、また短期間で十分な知識や技術を身につけられるのかと不安を抱くケースもあります。

確かに、2年制は学習密度が高く体力的・精神的な負担を感じる学生が多いのは事実です。しかし同時に、「最短2年で確実に資格取得できる」「早く現場で働き始められる」「学費を抑えられる」といった大きなメリットもあります。

この記事では、言語聴覚士の2年制が「きつい」と言われる理由を整理しつつ、他の選択肢との違いも比較します。

そのうえで、あなたの状況に合った最適な進路を判断するための視点をお伝えします。

言語聴覚士の2年制ってどんなもの?他の課程との違いを知ろう

言語聴覚士の2年制とは、短期間で国家資格取得を目指す集中型の教育課程です。

他の課程と比べることで、2年制の特徴やメリット・デメリットがはっきりと見えてきます。

言語聴覚士になる3つの道(2年制・3年制・4年制の違い)

言語聴覚士になるには、主に3つの選択肢があります。

2年制専門学校は、大学卒業者または指定科目を履修した人が対象で、最短2年で国家試験を受けられます。授業は平日朝から夕方まで詰まっており、夏休みも2〜3週間と短めです。

3年制専門学校は高校卒業後すぐに入学でき、基礎から専門まで段階的に学べます。2年制より時間に余裕があるため、アルバイトや課外活動に参加する学生も見られます。

4年制大学では学士号と一緒に国家試験の受験資格を得られ、一般教養や研究活動にも時間をかけられます。就職時に4年制卒として評価される場合もあると言われています。

言語聴覚士の各課程についてはこちらの記事でも詳しく解説しています

2年制の専門学校に通う場合、『大学を卒業している方、または心理学・教育学・言語学などの指定科目を履修している方』が対象となる点を踏まえた上で、メリット・デメリットを見ていきましょう。

2年制を選ぶメリット(時間短縮・費用節約)

2年制最大のメリットは、時間とお金の効率の良さです。社会人として早く現場に戻りたい方や、家庭の事情で長期間通学が難しい方にとって魅力的な選択肢です。

学費の面では、3年制と比べて1年分の授業料や生活費を節約できます。2年制の総学費は200万円から300万円程度で、4年制大学の半分程度に抑えられることが多いです。

また、実際の仕事を早く始められるため、同年代の3年制・4年制卒業生より1〜2年早く臨床現場でキャリアをスタートできます。これにより、生涯年収の面でもメリットがあると考えられています。

2年制のデメリット(スケジュールがきつい・余裕がない)

一方で、2年制の大変さは学習スケジュールの厳しさにあります。本来3年かけて学ぶ内容を2年に詰め込むため、毎日の授業が長く、予習復習の時間を確保するのが大変です。

2年制の専門学校の授業スケジュール例:

学校名 授業時間 授業コマ数 昼休み
名古屋医専 8:50〜17:40
平松学園専門学校 9:00〜16:10 4コマ 50分
大阪医療福祉専門学校 9:00〜16:10 4コマ

休み期間も短く設定されることが多く、夏休みは2週間程度、春休みも1ヶ月未満の学校が少なくありません。そのため、アルバイトや家事との両立が困難になることがあります。

また、国家試験対策と臨床実習の準備を同時に進める必要があり、特に2年次後半は非常にハードなスケジュールになると言われています。体調管理や精神的なケアがより重要になる課程といえるでしょう。

続いて、具体的にどんな場面で「きつい」と感じるのか詳しく見ていきましょう。

なぜ2年制が「きつい」と言われるの?授業・実習・試験準備の現実

言語聴覚士2年制の「きつさ」は、膨大な学習量と厳しい時間制約から生まれます。

実際の学校生活では、どのような困難があるのでしょうか。

毎日がぎっしり!授業と課題の実態

2年制の典型的な1日は、朝9時から夕方5時まで授業が続きます。1コマ90分授業が4〜5コマ組まれ、お昼休みは45分程度の短時間となることが多いようです。

平日のスケジュール例:

  • 9:00-10:30 解剖学
  • 10:40-12:10 生理学
  • 13:00-14:30 音声学
  • 14:40-16:10 言語発達学
  • 16:20-17:50 聴覚障害学

授業後も予習復習が必要で、特に医学系科目では覚える量が膨大です。レポート課題も頻繁に出され、1週間に2〜3本のレポート提出を求められることも珍しくありません。

記憶の定着を目的とした小テストも頻繁にあり、毎週何かしらの試験があるという学校もあります。そのため、計画的な学習スケジュール管理が欠かせません。

最大の難関!臨床実習の大変さ

臨床実習は2年制課程の中でも特に負担の大きい期間です。実習前の準備では、担当する症例について事前に勉強したり、実習記録の書き方を覚えたりする必要があります。

実習期間中は、朝8時から夕方6時まで実習先で過ごし、帰宅後に実習記録を書いたり翌日の準備をしたりします。睡眠時間が4〜5時間になることも珍しくありません。

実習指導者からの評価も厳しく、知識不足や技術の未熟さを指摘される場面も多くあります。精神的なプレッシャーに加え、実習先までの通学時間や交通費の負担も学生にとって大きな悩みとなることがあります。

同時進行が大変!国家試験対策との両立

多くの養成校では、臨床実習が2年次の夏から秋(7月中旬~11月頃)に行われ、国家試験は翌年の2月に実施されます。

つまり、学生は数か月間の実習で心身が疲れている状態のまま、残り2〜3か月で広範な試験範囲を総復習し、試験準備をしなければなりません。

このスケジュールの過密さが、学生に大きな負担をかける原因となっています。

ただし、学校によっては、実習が始まる前に座学を終わらせ、実習後は国家試験対策に集中できるよう工夫されているところもあります。

国家試験は200問の選択式問題で、合格率は60〜70%程度で推移しています。確実な合格を目指すには、1日2〜3時間の試験勉強が推奨されており、実習と両立するには相当な時間管理能力が求められます。

特に解剖学や生理学などの基礎医学分野は覚える量が多く、継続的な繰り返し学習が必要です。実習の疲れがある中でこれらの勉強を続けることが、多くの学生にとって大きな負担となっています。

社会人・主婦が特に感じる大変さ

社会人経験者や主婦の方にとって、2年制の厳しさはより深刻な問題となることがあります。久しぶりの学習環境に慣れるまでに時間がかかり、暗記中心の勉強法に苦戦するケースも見られます。

家事や育児との両立では、早朝や深夜の学習時間確保が必要になります。家族の理解と協力なしには続けるのが困難で、実際に途中で諦める学生も一定数いると言われています。

また、20代前半の学生と比べて体力的な差を感じることも多く、長時間の授業や実習への疲労回復に時間がかかることがあります。効率的な学習法の習得と体調管理がより重要になります。

▶このことは50代から言語聴覚士を目指す方への解説記事でも詳しく触れています。

リアルな声!実際の学生体験談

実際の2年制学生からは以下のような声が聞かれます。

「毎日が試験勉強みたいで、1週間があっという間に過ぎる。友達と遊ぶ時間はほとんどない」
「実習と国試対策を同時にやるのが本当にきつい。睡眠時間を削るしかないが、体調を崩しそうになる」
「子育てをしながらなので、家族の協力なしには無理だった。特に実習期間は夫に頼りっぱなし」

一方で、「きついけれど充実している」「同じ目標を持つ仲間がいるから頑張れる」という前向きな意見も多く聞かれています。

このような困難を乗り越えるための具体的な方法について、次で詳しく解説します。

2年制のきつさを乗り越えるには?

言語聴覚士2年制の困難は確かにありますが、適切な対策により多くの学生が乗り越えています。

効率的な勉強法と生活の工夫により、負担を軽くすることができます。

覚えるコツ!効率的な勉強法

医学系科目の暗記には、繰り返し学習と視覚的記憶の活用が効果的です。解剖学では解剖図に自分で名前を書き込む練習を繰り返し、生理学では体の働きを図で整理することがおすすめされています。

効果的な学習サイクル:

  1. 授業当日に重要ポイントをノートに整理
  2. 翌日朝に前日の内容を10分で復習
  3. 週末に1週間分の総復習
  4. 月末に1ヶ月分の確認テスト

過去問演習は早い段階から始めることが重要です。1年次から国家試験の過去問に触れることで、出題の傾向や重要ポイントが分かります。間違えた問題は解説を読んで理解し、同じテーマの問題を複数解くことで覚えやすくなります。

小テスト対策では、出題範囲を絞り込んで集中的に学習することが効率的です。先生が強調したポイントや教科書の太字部分を中心に、短時間で確実に点数を取れる準備を心がけましょう。

多くの養成校では、過去問の分析や模擬試験の結果に基づく弱点科目の把握、そして個別指導など、学生が闇雲に勉強するのではなく、自分の課題を明確に理解し、効率的に国家試験対策を進めることができるようにサポートをしてくれます。

時間をうまく使おう!スケジュール管理のコツ

限られた時間を有効活用するには、週単位・月単位での学習計画が必要です。実習期間中は平日の勉強時間が制限されるため、事前の準備学習が重要になります。

実習開始の1ヶ月前から、実習先の病気について基礎知識を整理しておくことで、実習中の理解度が大きく向上します。

また、実習記録のフォーマットを事前に作成し、効率的に記録できる準備を整えることも有効です。

通学時間も貴重な勉強時間として活用できます。電車内で暗記カードを使った復習や、音声教材を聞くことで、1日30分〜1時間の追加学習時間を確保できます。

実際に筆者も、電車内では暗記カードを開き、単語を覚える時間にしていました。適度な雑音で集中しやすく、また「移動時間だけ」という制約により気持ちの切り替えができるためおすすめの学習方法です。

毎日同じことをして習慣化することも大切ですが、飽きて集中ができなくなってしまった場合には教科書を読み込むことも効果がありました。

単語はそれぞれ独立しているため暗記に向いています。一方で、教科書は文脈を通して全体像を理解できるため、記憶に残りやすいと感じました。

やる気を保つ!モチベーション維持の工夫

長期間の厳しい学習を続けるには、明確な目標設定と定期的な成果確認が重要です。「国家試験で〇点以上取る」という具体的な数値目標に加え、「将来こんな言語聴覚士になりたい」という理想を常に意識することが励みになります。

同級生との情報共有や勉強会も効果的です。お互いの得意分野を教え合ったり、実習での経験を共有することで、学習効率の向上とやる気の維持の両方が期待できます。

また、月に一度程度の適度なリフレッシュも必要です。完全に休む日を設けることで、かえって学習効率が向上することが多いと言われています。

一人で悩まない!学校のサポート制度活用法

多くの2年制学校では、学生のサポート体制が充実しています。

成績が心配な学生向けの補習授業や、個別の学習相談を受け付けている学校が多く、積極的に活用することが大切です。

国家試験対策では、模擬試験の結果に基づいた個別指導や、苦手分野の特別講座が開催されることがあります。また、実習に関する不安や悩みについても、実習担当の先生や学生相談室で相談できる体制が整っています。

お金の心配がある学生には、奨学金制度や学費分納制度を利用できる場合があります。困ったときは一人で抱え込まず、早めに学校に相談することが解決への近道となります。

これらの対策をすることで、言語聴覚士の2年制のきつさは十分に乗り越えられるものと言えます。

次に、2年制卒業後の進路や評価について見ていきましょう。

言語聴覚士は2年制でも大丈夫?合格率・就職率について

言語聴覚士2年制への「きつさ」への不安とともに、「2年制でも就職で不利にならないか」という心配を持つ方も多いでしょう。

就職率も心配なし!理由は「需要の高さ」

言語聴覚士の就職率は、どの課程を卒業しても90%以上の高水準を維持しています。2年制卒業生も同様に高い就職率を記録しており、医療・福祉現場での需要の高さがうかがえます。

就職先を見ると、2年制卒業生は病院やクリニックへの就職が多い傾向があります。これは、社会人経験のある学生が多く、即戦力として期待されることが理由の一つと考えられています。

また、2年制卒業生は学習期間が短い分、「効率的に必要な知識を身につけられる人材」として評価される場合もあります。限られた時間で成果を上げる能力は、医療現場でも重要な即戦力として認識されています。

現場では学歴より実力が重視される

実際の医療現場では、卒業した学校より、個人の専門知識と患者さんとのコミュニケーション能力が重視されます。患者さんにとって重要なのは、セラピストの学歴ではなく、適切な支援をしてくれるかどうかです。

病院の採用担当者からは「2年制だから採用で不利になることはない。むしろ短期間で資格を取った向上心や、社会人経験がある人材は評価が高い」という声も聞かれます。

キャリアアップの面でも、臨床経験を早く積めることは長期的なメリットとなります。認定言語聴覚士などの専門資格取得や管理職への昇進においても、2年制卒業であることがマイナスになることは少ないと言われています。

厳しい課題や時間管理、プレッシャーの中で成果を出してきた経験は、精神的な強さや自己管理能力、そして職業に対する責任感の証拠として評価されます。

つまり、「きつい」2年制のプログラムで学んだ経験が、卒業後には就職活動でプラスに働き、即戦力として期待される人材であることを示す材料になっているのです。

次に、自分に最適な言語聴覚士の課程を選択するための比較検討を行いましょう。

言語聴覚士の学校はどれを選ぶ?2年制・3年制・4年制を徹底比較

言語聴覚士になるための課程選択では、2年制・3年制・4年制それぞれの特徴を理解し、自分の状況に最も適したものを選ぶことが重要です。

一目で分かる!期間・学費・スケジュール比較

項目 2年制専門学校 3年制専門学校 4年制大学
修業年限 2年 3年 4年
入学条件 4年制大学卒業(または見込み) 高校卒業(または同等以上) 高校卒業(または同等以上)
総学費目安 210万~300万円 約300万~450万円 国公立:約250万円 / 私立:約400万~650万円
1日の授業時間 6~8時間(4~5コマ、ほぼ終日) 4~6時間(比較的余裕あり) 4~6時間(一般教養含む、空きコマあり)
長期休暇 短い(GW、お盆、年末年始のみ。夏休みは実習準備等) 比較的あり 長い(夏・春に長期休暇あり)
アルバイト 困難(推奨されない) 可能(制限あり) 可能
取得学位/称号 専門士 専門士 学士

学習の詰まり具合では2年制が最も厳しく、4年制が最も余裕のあるスケジュールとなります。学費面では期間に比例して総額が増加しますが、年間の負担額はそれほど大きな差がない場合もあります。

2年制が向いているのはこんな人

2年制は以下のような方に適していると考えられます。

最短期間で資格を取りたい方には、2年制の集中学習環境が最適です。特に社会人として早期の現場復帰を希望する場合や、家庭の事情で長期間の通学が困難な場合に有効な選択肢となります。

ある程度の基礎学力と学習習慣がある方であれば、2年制の厳しいスケジュールにも対応可能です。大学卒業者や医療系の資格を持つ方は、基礎知識があることで2年制でも十分に学習を進められることが多いようです。

はっきりとした目標意識を持つ方は、2年制の集中的な環境でやる気を維持しやすいと言われています。「絶対に言語聴覚士になる」という強い意志があれば、困難を乗り越える原動力となります。

3年制・4年制が向いているのはこんな人

一方で、以下のような方には3年制や4年制がより適している場合があります。

基礎学力に不安がある方勉強にブランクがある方は、段階的に学習できる3年制以上の課程が安心です。医学系科目の基礎から丁寧に学習することで、確実な知識の定着を図れます。

学校生活を楽しみたい方アルバイトとの両立を希望する方には、時間的余裕のある3年制や4年制が適しています。部活動やサークル活動に参加したい場合も、これらの課程が現実的です。

将来的に研究職や教育職を目指したい方には、4年制大学での学士号取得がメリットとなる場合があります。大学院進学を視野に入れる場合にも、4年制大学が有利とされています。

あなたはどのタイプ?ケース別選択ガイド

高校を出たばかりの場合、時間的な制約が少ないため3年制や4年制でじっくり学習することがおすすめされます。社会経験を積みながら専門知識を身につけ、多角的な視野を身につけることができます。

社会人からの転職の場合は、個人の状況により選択が分かれます。早期の転職を希望し、学習に集中できる環境がある方は2年制を、仕事を続けながら夜間課程で学びたい方は3年制を選択することが多いようです。

子育て中の主婦の場合は、家族のサポート体制により選択が左右されます。十分なサポートがある場合は2年制で短期集中、サポートが限定的な場合は3年制でゆとりを持った学習を選ぶ傾向があります。

家庭の事情、経済状況、学習能力、サポート体制など、個人を取り巻く環境は様々です。他人の選択に左右されることなく、自分にとって最善の道を選ぶことが成功への第一歩となります。

どの道を選んでも大変な時期もあるかもしれませんが、多くの先輩方が歩んできた道であり、適切なサポートと対策により乗り越えることができます。

あなたの頑張りを心から応援し、将来の言語聴覚士としての活躍を期待しています。

この記事を書いた人
こどもプラス本部

発達支援に特化した放課後等デイサービス「こどもプラス」は、全国190教室以上を展開しています。
言語聴覚士として、発達障がいのお子様のことばやコミュニケーション支援に携わることができる職場です。
こどもプラスは、全国の教室で言語聴覚士として働く仲間を募集しています。

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